働き方・仕事

働き方は、生き方の中の最も重要な課題。一人一人の生き方が自由であるのと同じように、基本的には、職業選択の自由が保障されています。職業は、労働契約を結んでの仕事だけでなく、フリーランスや自営業、独立・起業などもその選択肢。 また、副業・兼業も自由な選択肢。 長い人生において、働き方、職種、仕事の種類も、計画的に、あるいは、状況に応じて、主体的にデザインし、取り組むことができればと思います。 そのために役に立つ動向や情報の提供や、提案を行います。

就業者最多6781万人の背景と課題|人手不足時代の働き方再考

2025年2月1日付日経。
「就業者最多6781万人昨年34万人増、正社員に転換進む」というタイトルで。以下の記事が掲載された。(有料電子版を購読の方は、リンク先から見て頂けます。)
⇒ 就業者最多6781万人 昨年34万人増 正社員に転換進む ミスマッチ、人手不足解消せず – 日本経済新聞
前日1月31日に総務省から発表された、『2024年労働力調査(基本集計)』を基に、その主なポイントを踏まえて、このところの就業・労働力動向について、横展開して論じた小記事である。

2024年労働力調査(基本集計)概要

初めに、その元となった総務省の発表の概要を、労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約
をそのまま引用する形で、以下に示した。
なお、「2024年(令和6年)平均結果の概要」は、2025年4月1日掲載予定とあるので、できれば再度取り上げたい。

1. 2024年平均の完全失業率は2.5%と、前年に比べ0.1ポイント低下完全失業者数は176万人と、前年に比べ2万人減少(3年連続の減少)

・男女別完全失業率:男性2.7%、前年比べ0.1ポイント低下、女性2.4%と0.1ポイント上昇
・男女別完全失業者:男性101万人で4万人減少、女性76万人で3万人増加
・求職理由別完全失業者:「勤め先や事業の都合による離職」22万人で3万人減少、
「自発的な離職(自己都合)」75万人で前年同数、「新たに求職」48万人で1万人の増加

2. 2024年平均の就業者数は6781万人と、前年に比べ34万人増加(4年連続の増加)

・男女別就業者:男性3699万人で3万人増加、女性3082万人で31万人増加。
・15~64歳男女別就業者数:男性3161万人で1万人減少、女性2690万人で19万人増加。合計5851万人で18万人増加。
・就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合):61.7%、0.5ポイント上昇(4年連続の上昇)。
 男性69.6%で0.1ポイント上昇、女性54.2%で0.6ポイント上昇
・15~64歳就業率:79.4%で0.5ポイント上昇。男性84.5%0.2ポイント上昇、女性74.1%0.8ポイント上昇

3. 2024年平均の就業者のうち、前年に比べ最も増加した産業は「情報通信業」

・産業別就業者数:「情報通信業」292万人、14万人の増加、「医療,福祉」922万人と12万人増加、
「宿泊業,飲食サービス業」407万人9万人増加
・「製造業」1046万人で9万人減少、「農業,林業」180万人で7万人減少、「建設業」477万人で6万人減少
就業者とは15歳以上の人のうち、仕事を持って働いている人および一時的に休職している人。

4. 2024年平均の正規の職員・従業員数は3654万人と、前年に比べ39万人増加(10年連続の増
加):非正規の職員・従業員数は2126万人と2万人増加(3年連続の増加)

・正規職員・従業員:男性2355万人で9万人増加、女性1299万人で31万人増加
・非正規職員・従業員:男性682万人で1万人減少、女性1444万人で3万人増加
・役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合:36.8%で0.2ポイント低下

5. 2024年平均の労働力人口は6957万人と、前年に比べ32万人増加(2年連続の増加)

・正規職員・従業員数:男性2355万人で9万人増加、女性1299万人で31万人増加
・非正規の職員・従業員数:男性682万人で1万人減少、女性1444万人で3万人増加
・役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.8%と0.2ポイントの低下

6. 2024年平均の非労働力人口は4031万人と、前年に比べ53万人減少(4年連続の減少)

・非労働力人口:男性1510万人で6万人減少、女性2521万人で47万人減少

7. 2024年平均の地域別完全失業率は、11地域中6地域で前年に比べ低下

・地域別完全失業率:6地域(北海道、北関東・甲信、北陸、近畿、四国及び沖縄)で前年比低下、
3地域(南関東、東海及び九州)で前年同率、東北及び中国で上昇
・低い地域は、北陸2.0%、東海2.1%、中国及び四国2.2%。
・高い地域は、沖縄3.2%、東北及び近畿2.8%、南関東2.7%

※上記「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約 からの資料

日経記事の論調|余剰労働力動向と経営課題

冒頭紹介した日経記事の論調は、以下のとおりである。

前年から34万人増えて就業者数が過去最多となった要因として、女性やシニア層の就労者が増え、かつ正規雇用が増加したことを指摘。しかし、余剰労働力は乏しく、全体的に人手不足であることを挙げ、その対策を進めながら生産性を上げるべきことが、日本経済の課題である。
余剰労働力とは、現在は仕事に就いていないものの、今後労働者になり得る人たち。人材ニーズが高まると新規就労者が増え、余剰労働力が減少。余剰労働力が減少すると採用の難易度が高まり、賃金上昇圧力がかかりやすくなる。

⇒ (きょうのことば)余剰労働力 減少なら賃金に上昇圧力  – 日本経済新聞

まあ、こういう定型の主張を強くするために、今年に入って相次いで報じられている、アシックス、大和ハウス工業、ファストリなどの初任給引き上げや、同様話題になった、正規雇用者と非正規雇用者との賃金格差の是正政策が、経営上必須となっていることも書き加えている。
なぜか、今までならば「労働力人口」という用語を好んで用いたのだが、今回は「余剰労働力」という用語を用いたことが、あれっ?と思わせることだったが。
企業サイドの課題を強調することが、当記事の目的とできるだろうか。

人口減少社会における労働人口減少対策としての経営課題

日本の人口減少社会においては、当然労働力人口の減少も構造的に同時進行していく。
こうした状況下、人手不足も想定され、その対策として女性の雇用と高齢者雇用を強化していくことも自然の流れだった。
これに加え、従来の非正規雇用者の中から、意欲のある、あるいは能力を認める人材を正規雇用に切り替えることも同様である。
そして、新卒者雇用やキャリアを持つ人材の中途採用において賃金を引き上げていくことも、企業間の人材獲得競争を考えれば、やはり自然のこと。

日経は、経営者・企業寄りの見方・考え方で、労働市場と経営課題とを結びつけることが常道である。
しかし、当サイトでは、現役世代と次世代の人々のこれからの望ましい働き方・生き方を考えることに焦点当てている。
ただ、人の数だけ、その在り方は多様であり、みな異なる。
一見、当然のように語られる「多様性」「多様な働き方」という命題も、実際の選択肢は、そう多くはない。
むしろ制約条件の方が多いだろう。

そうした中、先述の労働力調査の中で、押さえておきたい点がある。
それは、業種及び職種、そしてどこで働くかという地域という課題である。
先の調査では、業種として括られているが、より正確に見ていくうえでは「職種」が最も重要な課題になるだろう。
そして、「どこで働くか」である。
今日の各紙においても、同じく総務省が昨日発表した「2024年人口移動報告」で、東京への一極集中傾向が再び進行していることが報じられている。
※参考:統計局ホームページ/住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果

就業者が増える職種・地域、減る職種・地域

こうした状況・傾向をみて、柔軟にこれからの仕事・職種、就職先などを望むように設定し、取り組むことができれば理想的だ。
しかしそれが可能な人も限られるかもしれない。
増える職種がこれからのトレンド、という見方・考え方もある。
一方、減る仕事・職種だから、反対に求人倍率が高く、給料も稼げるかもしれない。
介護の仕事のように、就労者数は増えてはいるが、不人気で、現場は人手不足が解消されない。
東京には、魅力的な仕事があり、遊ぶところもいろいろある。しかし家賃も物価も高く、それ相応の収入がないと厳しい。
反対に、地方・地域は、石破首相がいくら地方創生を声高に叫んでも・・・。
そうした、さまざまな要素・状況のなか、今とこれからの働き方をどのように考え、実践していくか。


今日、2025年2月1日、当サイトを以上の課題提起から始めることになりました
この課題は、現役世代だけでなく次世代にも繋がるものです。増えているシニア・高齢者世代の就労者にも通じるものと考えます。
その視点も、当サイト運営上、欠かせない条件として取り組んでいきます。

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